4.8. ロードバランサの管理¶
Acronis Cyber Infrastructureには、計算インフラストラクチャのためのサービスとしてロードバランシング機能が用意されています。ロードバランシング機能を使用すれば、仮想マシンに入ってくるネットワークトラフィックをバランシングプールから分散させることによって、フォールトトレランスを確保したり、Webアプリケーションのパフォーマンスを改善したりできます。ロードバランサは着信要求を受け取ってから、設定されているバランス調整アルゴリズムとVMの正常性に基づいて、適切なVMにその要求をルーティングします。
以下の要件に注意してください。
- ロードバランサは、IP管理が有効化されたネットワークでのみ動作できます。
- バランシングプール内のVMには、すべて固定IPアドレスが必要です。
ロードバランサとバランシングプールは以下の手順で作成できます。
Load balancers screenで、[ロードバランサを作成] をクリックします。
[ロードバランサを作成] ウィンドウで、以下の手順を実行します。
- 名前を指定します。説明も入力できます。
- 高可用性を有効化/無効化します。
- 高可用性を有効にすると、2つのロードバランサインスタンスが作成されます。そのロードバランサインスタンスは、仮想ルーター冗長プロトコル(VRRP)に基づいてアクティブ/スタンバイモードで動作します。
- 高可用性を無効にすると、1つのロードバランサインスタンスが作成されます。
- [ネットワーク設定] セクションで、ロードバランサが動作するネットワークを選択します。ロードバランサに割り当てられるIPアドレスを指定することもできます。
- 選択された仮想ネットワークがルーターを経由して物理ネットワークに接続されている場合、ロードバランサにフローティングIPを割り当てることができます。そうする場合は、[フローティングIPアドレスを使用します] を選択し、表示されるドロップダウンメニューから、空いているフローティングIPアドレスを使用するか、新しいアドレスを作成するかを選択します。
[バランシングプール] セクションで [追加] をクリックし、トラフィックをロードバランサから仮想マシンに転送するためのバランシングプールを作成します。
[バランシングプールを作成] ウィンドウが開いた後、以下の手順を実行します。
[転送ルール] セクションで、ロードバランサからバックエンドプロトコルへの転送ルールを選択します。HTTPS -> HTTPS、 HTTPS -> HTTP、HTTP -> HTTP、 TCP -> TCP。 さらに、[LBポート] フィールドと [バックエンドポート] フィールドに、着信接続と転送先接続のポートを指定します。
次の点に注意してください。
- HTTPS -> HTTPSルールを使用する場合、すべての仮想マシンのSSL証明書(または証明書チェーン)が同一でなければなりません。
- HTTPS -> HTTPルールを使用する場合、PEM形式のSSL証明書(または証明書チェーン)とPEM形式の秘密キーをアップロードする必要があります。
重要
ロードバランサ作成後は転送ルールを変更できません。
[バランシング設定] セクションで、バランシングアルゴリズムを選択します。
- 接続数最小。リクエストは、アクティブな接続の数が最も少ないVMに転送されます。
- ラウンドロビン。 すべてのVMがラウンドロビン方式でリクエストを受信します。
- ソースIP。固有のソースIPアドレスからのリクエストが、同じVMへとダイレクトされます。
[スティッキーセッション] オプションを有効化/無効化して、セッションの永続性を有効化/無効化します。ロードバランサにより、各応答に挿入されるCookieが生成されます。Cookieは、今後リクエストを同じVMに送信する際に使用されます。
注釈
SSLパススルーモードでは、このオプションを使用できません。
[メンバー] セクションで、[追加] をクリックしてバランシングプールにメンバー(仮想マシン)を追加します。どのVMにも、複数のバランシングプールを持たせることができます。
[メンバーを追加] ウィンドウが開いたら、追加するVMを選んで [追加] をクリックします。
[ヘルスモニタ] セクションで、メンバーのアベイラビリティーの監視に使用するプロトコルを選択します。
- HTTP/HTTPS。レスポンスステータスコード200の確認には、HTTP/HTTPSメソッドのGETが使われます。さらに、ヘルスモニタへのURLパスを指定します。
- TCP。 ヘルスモニタでは、バックエンドポートのTCP接続確認を行います。
- PING。 ヘルスモニタでは、メンバーのIPアドレスがチェックされます。
重要
ロードバランサ作成後のプロトコル変更はできません。
デフォルトでは、ヘルスモニタは5秒間隔のヘルスチェックに3回連続して失敗したメンバーをバランシングプールから削除します。メンバーの動作が復帰し、ヘルスチェックに3回連続して成功すると、再度プールに追加されます。VMヘルスチェック後の間隔、監視タイムアウト後の時間、ヘルスの正常と異常のしきい値といったヘルスモニタのパラメータは手動で設定できます。デフォルトのパラメータを変更するには、[パラメータを編集] をクリックし、希望する値を入力してから、[保存] をクリックします。
[作成] をクリックします。
必要な場合、上述の方法でバランシングプールをさらに追加します。
[作成] をクリックします。
作成されたロードバランサのパフォーマンスとヘルスは、右側のペインの [概要] タブで監視できます。
以下のチャートが表示されます。
- メンバー状態
- バランシングプール内の各ステータスのメンバーの合計数。[正常]、[異常]、[エラー]、[無効] の状況があります。
- CPU/RAM
- ロードバランサによるCPUとRAMの使用状況。
- ネットワーク
- 受信と送信のネットワークトラフィック。
- アクティブ接続
- アクティブ接続の数。
- エラー要求
- エラー要求の数。
ロードバランサのパラメータは、[プロパティ] タブで確認できます。
ロードバランサの名前や説明を編集するには、横にある省略記号アイコンをクリックし、[編集] をクリックします。
ロードバランサを有効/無効にしたり削除したりするには、対象のロードバランサの横にある省略記号のアイコンをクリックし、目的の操作をクリックします。複数のロードバランサをまとめて削除する場合は、対象のロードバランサを選択して [削除] をクリックします。
4.8.1. バランシングプールの管理¶
ロードバランサのバランシングプールのリストを確認するには、対象のロードバランサの名前をクリックします。

ロードバランサにさらにバランシングプールを追加する場合、[バランシングプールを作成] をクリックし、ロードバランサの管理の説明のようにフィールドに記入します。新しく追加されたプールが、バランシングプールの一覧に表示されます。
プールの右側のペインの [概要] タブでパフォーマンスとヘルスを監視したり、[プロパティ] タブでパラメータを確認したり、[メンバー] タブでメンバーを管理したりできます。
バランシングアルゴリズムやセッションの永続性といったバランシングの設定を編集するには、プール横の省略記号アイコンをクリックし、[編集] をクリックします。ヘルスモニタのパラメータを編集するには、プール横の省略記号アイコンをクリックし、[ヘルスモニタを編集] をクリックします。
バランシングプールにメンバーをさらに追加するには、横にある省略記号アイコンをクリックしてから、[+ メンバーを追加] をクリックします。
バランシングプールを削除するには、対象のバランシングプールの横にある省略記号のアイコンをクリックして [削除] をクリックします。複数のバランシングプールをまとめて削除する場合は、対象のバランシングプールを選択して [削除] をクリックします。