2.2. ストレージポリシーについて

Acronis Cyber Infrastructureは、iSCSIブロックストレージ、NFSファイルストレージ、S3オブジェクトストレージ、バックアップストレージ(Acronis Cyber Backupソリューションで作成されたバックアップ保存用)のシナリオでお使いいただけます。また、組み込みのハイパーバイザーを使用して、計算仮想マシン(VM)を作成することもできます。これらシナリオのいずれでも、データの共通単位はボリュームです。計算サービスの場合、ボリュームは、VMに接続できる仮想ドライブです。iSCSI、S3、Backup Gateway、およびNFSの場合は、スペースのエクスポートで使用するデータ単位がボリュームになります。いずれの場合も、ボリューム作成時には、ボリュームの冗長モードティア、および障害ドメインの定義が必要です。これらのパラメータが、ボリュームの冗長性とボリュームの配置場所を定義するストレージポリシーを構成します。

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冗長性とは、データが複数の異なるストレージノードに保存され、一部のノードに障害が発生した場合でも高可用性が維持されることを意味します。ストレージノードにアクセスできない場合、そのストレージノード上にあるデータのコピーは、正常なストレージノードに分散された新しいコピーに置き換えられます。ダウンタイム後にストレージノードが稼働すると、ストレージノードの古いデータは更新されます。

レプリケーションでは、Acronis Cyber Infrastructureがボリュームをサイズの固定された断片(データチャンク)に分割します。各チャンクは、ストレージポリシーで設定された回数に応じて複製されます。障害ドメインがホストの場合、レプリカは複数の異なるストレージノードに保存されるため、各ノードには特定のチャンクの単一のレプリカのみが保管されます。

イレージャーコーディング(または単にコーディング)では、着信データストリームが特定のサイズのフラグメントに分割されます。続いて、各フラグメント自体をコピーする代わりに、該当のフラグメントは一定数(M)にグループ化され、冗長性用に一定数(N)のパリティピースが作成されます。ピースはすべて、M+N個のストレージノード(使用可能なすべてのノードから選択)に分散されます。データは、N個のストレージノードで障害が発生しても、データの損失を回避できます。MとNの値は、イレージャーコーディングの冗長性モードの名前に示されています。たとえば、5+2モードの場合、受信データは5つのフラグメントに分割され、さらに2つのパリティピースが冗長性確保のために追加されます。冗長性、データオーバーヘッド、ノード数、およびRAW領域の要件の詳細については、:doc:『管理者ガイド<admins_guide:index>』を参照してください。

ストレージポリシーに対する理解を深めるために、サンプルシナリオの主なコンポーネント(ティア、障害ドメイン、および冗長性)を確認してみましょう。たとえば、高速SSDと大容量HDDというストレージノードを複数備えるノードが3つあるとします。ノード1にはSSDのみがあり、ノード2と3には、SSDとHDDの両方があります。iSCSIとS3を介して記憶域スペースをエクスポートする場合、ワークロードごとに適切なストレージポリシーを定義する必要があります。

  • 1番目のパラメータであるティアは、特定のストレージワークロードに合わせ調整された基準(原則としてドライブのタイプ)で結合されたディスクのグループを定義します。この例では、SSDドライブをティア2に、HDDドライブをティア3にグループ化できます。ストレージクラスターの作成時またはノードの追加時に、ティアにディスクを割り当てることができます(ストレージクラスターの作成参照)。HDDがあるのはノード2とノード3のみで、これらはティア3に使用される点にご注意ください。ティア3には、最初のノードのSSDを使用できません。
  • 2番目のパラメータである障害ドメインは、一連のストレージサービスが相互に関連して障害が発生する可能性のあるスコープを定義します。デフォルトの障害ドメインはホストです。各データチャンクは異なるストレージノードにコピーされます。コピーされるのはノードごとに1つだけです。ノードに障害が発生しても、正常なノードからはデータに引き続きアクセスできます。またディスクは障害ドメインとなりますが、関係するのは1ノードのクラスターにのみに限られます。このシナリオでは、ノードが3つあるため、ホストを障害ドメインにすることをお勧めします。
  • 3番目のパラメータである冗長性は、使用可能なディスクとティアに適合するよう構成する必要があります。この評価例では、ノードが3つあり、すべてのノードのティア2にSSDがあります。このため、ストレージポリシーでティア2を選択した場合、3つのノードを1、2、または3つのレプリカに使用できます。ただし、ティア3にHDDを搭載したノードは2つだけです。このため、ストレージポリシーでティア3を選択した場合、2つのノードに格納できるレプリカは1つか2つに限られます。いずれの場合も、エンコードが使用できますが、ここでは、SSD用に3つのレプリカ、HDD用に2つのレプリカというレプリケーションを考えてみましょう。

これを要約すると、ストレージポリシーは次のような結果になります。

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