2.7. 障害のあるドメインについて¶
障害のあるドメインとは、データはまだ使用可能であっても、障害が発生する可能性があるスコープ(ラックなど)のことをいいます。ラックに障害のあるドメインを選択した場合、1つのラックに障害があっても、他のラックがデータ可用性を提供するのでクラスターデータに問題はありません。ホストに障害のあるドメインを選択した場合、サーバー全体を損失してもデータ可用性は失われません。
高可用性を実現するために、Acronis Cyber Infrastructureでは、レプリカ配置ポリシーに従ってデータレプリカを障害のあるドメインに均等に配分します。次のポリシーを利用できます。
- ディスク、最も小さい障害ドメイン。このポリシーを使用する場合、Acronis Cyber Infrastructureでは、1基のディスクに複数のデータレプリカを配置することはありません。ディスクの障害からは保護されますが、データレプリカが同じホスト上の別のディスクに配置されていて、そのホストで障害が発生した場合、データが失われる可能性があります。このポリシーはノードが1つのクラスターで使用されます。
- 障害のあるドメインとしてのホスト。このポリシーを使用する場合、Acronis Cyber Infrastructureでは、ホストごとに複数のデータレプリカを配置することはありません。そのため、Storage Nodeに障害が発生して(オペレーティングシステムのクラッシュ)すべてのディスクが利用できなくなっても、正常なノードから引き続きデータにアクセスできます。
- 障害のあるドメインとしてのラックこのポリシーを使用する場合、Acronis Cyber Infrastructureでは、ラックごとに複数のデータレプリカを配置することはありません。そのため、1つのラックに障害が発生して(ラック上の切り替えの失敗)ラックにあるすべてのノードが利用できなくなっても、その他のラックから引き続きデータにアクセスできます。
- 障害のあるドメインとしての行このポリシーを使用する場合、Acronis Cyber Infrastructureでは、行ごとに複数のデータレプリカを配置することはありません。そのため、1つの行に障害が発生して(1つの電源の故障)行中にあるすべてのラックが利用できなくなっても、その他の行から引き続きデータにアクセスできます。
- 障害のあるドメインとしてのルームこのポリシーを使用する場合、Acronis Cyber Infrastructureでは、ルームごとに複数のデータレプリカを配置することはありません。そのため、1つのルームに障害が発生して(停電)ルームにあるすべての行が利用できなくなっても、その他のルームから引き続きデータにアクセスできます。
障害のあるドメインを選択する場合には、以下の推奨事項を検討してください。
- メタデータサービスがロケーションに配分されていることを確認してください。例えば、障害のあるドメインとしてルームを選択して、データを複数のルームに均等に配分させる場合、メタデータサービスも配分させる必要があります。すべてのメタデータサービスが一つのルームに保存されていて、そのルームに停電が原因で障害が発生した場合、クラスターは正常に機能しません。
- 障害のあるドメインとしてロケーションを選択するには、サービスまたはデータを1つの障害のあるドメインから別のドメインに移動させることができるように(一つのラックから別のラックなど)、複数の障害のあるドメインのロケーションが必要です。例えば、2つのレプリカ冗長性またはエンコード1+1を備えた障害のあるドメインのラックを選択する場合、クラスターに割り当てられた正常なノードを備えたラックが2つ以上あることを確認してください。
- ディスク領域を障害のあるドメイン間で均等に配分する必要があります。例えば、障害のあるドメインのラックを選択する場合、各ラックで同容量のディスク領域が利用できる必要があります。各ラックの割り当て可能なディスク領域は最も小さなラックのディスク領域に設定されます。それは、各ラックにデータチャンク用のレプリカを1つ保存する必要があるからです。最も小さいラックのディスク領域を使い切ると、新しいラックが追加されるか、レプリケーション要素が減少するまで、クラスターのチャンクが作成されることはありません。大容量の障害のあるドメインは全体のディスク領域の不均衡の影響をより受けやすくなります。例えば、10TB、20TB、30TB、100TB、および合計100TBのディスク領域を備えた5つのラックがあるドメインの場合、(10+20+30+100+100)/3 = 86TBのデータを3つのレプリカに割り当てることはできません。むしろ、容量の少ないラックはすぐに使い切ってしまうため、60TBのみが割り当て可能です。さらに、最大のラック(100TBのラック)には割り当てられない空き領域がまだあることになります。
2020年10月21日