4.1. 環境の準備

このセクションでは、ネットワーク経由でインストールするために環境をセットアップする方法について説明します。

4.1.1. PXEコンポーネントのインストール

PXE環境をセットアップするには次のコンポーネントが必要です。

  • TFTPサーバー。これは、サーバーでネットワークを経由してAcronis Cyber Infrastructureを起動し、インストールするためのマシンです。Linuxを実行でき、ネットワーク経由でアクセスできるマシンであればどのマシンでもTFTPサーバーとして使用できます。

  • DHCPサーバー。これは、ネットワーク上のコンピューターにTCP/IP設定を提供する標準のDHCPマシンです。

  • HTTPサーバー。これは、ネットワークを経由してAcronis Cyber Infrastructureのインストールファイルを供給するマシンです。

    FTP(たとえば、vsftpdを使用)またはNFSを使用してネットワーク上でAcronis Cyber Infrastructureディストリビューションを共有することもできます。

3つすべてのサーバーを同じ物理マシンに設定する方法が最も簡単です。

# yum install tftp-server syslinux httpd dhcp

インフラストラクチャの既存のサーバーを使用することもできます。たとえば、既にHTTPサーバーとDHCPサーバーが設定されている場合は、httpddhcpを省略します。

4.1.2. TFTPサーバーの設定

このセクションでは、BIOSベースのシステムでTFTPサーバーを設定する方法について説明します。EFIベースのシステムでAcronis Cyber InfrastructureをインストールするためにTFTPサーバーを設定する方法については、『Red Hat Enterprise Linuxインストールガイド』を参照してください。

以下の手順を実行します。

  1. サーバーで、/etc/xinetd.d/tftpファイルを開き、次のように編集します。

    service tftp
    {
    disable         = no
    socket_type     = dgram
    protocol        = udp
    wait            = yes
    user            = root
    server          = /usr/sbin/in.tftpd
    server_args     = -v -s /tftpboot
    per_source      = 11
    cps             = 100 2
    flags           = IPv4
    }
    

    編集が終わったら、ファイルを保存します。

  2. /tftpbootディレクトリを作成し、vmlinuzinitrd.imgmenu.c32pxelinux.0の各ファイルをこのディレクトリにコピーします。

    これらのファイルは、インストールを開始するために必要なファイルです。最初の2つのファイルはAcronis Cyber Infrastructureディストリビューションの/images/pxebootディレクトリにあります。最後の2つのファイルはsyslinuxディレクトリ(通常、/usr/share/syslinuxまたは/usr/lib/syslinux)にあります。

  3. /tftpboot/pxelinux.cfgディレクトリを作成し、そのディレクトリにdefaultファイルを作成します。

    # mkdir /tftpboot/pxelinux.cfg
    # touch /tftpboot/pxelinux.cfg/default
    
  4. 次の行をdefaultに追加します。

    default menu.c32
    prompt 0
    timeout 100
    ontimeout INSTALL
    menu title Boot Menu
    label INSTALL
            menu label Install
            kernel vmlinuz
            append initrd=initrd.img ip=dhcp
    

    このファイルに指定できるパラメータの詳細については、syslinuxのマニュアルを参照してください。

  5. xinetdサービスを再起動します。

    # /etc/init.d/xinetd restart
    
  6. 必要に応じて、TFTPサーバー(デフォルトでは、ポート69)にアクセスできるようにファイアウォールを設定します。

    TFTPサーバーを実行中の場合、「Permission denied」エラーが表示されることがあります。この場合、# restorecon -Rv /tftboot/コマンドを実行して問題を修正してみてください。

4.1.3. DHCPサーバーの設定

ネットワークを経由してAcronis Cyber InfrastructureをインストールするためにDHCPサーバーをセットアップするには、次の文字列をdhcpd.confファイルに追加します。このファイルは通常、/etcまたは/etc/dhcpディレクトリにあります。

next-server <PXE_server_IP_address>;
filename "/pxelinux.0";

EFIベースのシステムでインストールするためにDHCPサーバーを設定するには、dhcpd.confファイルでfilename "/pxelinux.0"ではなくfilename "/bootx64.efi"を指定します。/bootx64.efiは、TFTPサーバーをセットアップするときにEFIブートイメージをコピーしたディレクトリです。

4.1.4. HTTPサーバーの設定

TFTPサーバーとDHCPサーバーを設定したので、Acronis Cyber Infrastructureディストリビューションファイルをネットワークを経由したインストールに使用できるようにする必要があります。これを行うための手順は、次のとおりです。

  1. HTTPサーバーを設定します(または、既存のサーバーを設定します)。

  2. Acronis Cyber InfrastructureインストールDVDの内容をHTTPサーバー上のディレクトリ(たとえば、/var/www/html/distrib)にコピーします。

  3. PXEサーバーで、Acronis Cyber Infrastructureインストールファイルのパスを/tftpboot/pxelinux.cfg/defaultファイルのappend行に指定します。

    EFIベースのシステムの場合、編集する必要があるファイルの名前は/tftpboot/pxelinux.cfg/efidefaultまたは/tftpboot/pxelinux.cfg/<PXE_server_IP_address>です。

    HTTPサーバーが198.123.123.198にあり、インストールファイルが/var/www/html/distrib/に格納されており、DocumentRoot/var/www/htmlに設定されている場合、defaultファイルは次のようになります。

    default menu.c32
    prompt 0
    timeout 100
    ontimeout INSTALL
    menu title Boot Menu
    label INSTALL
            menu label Install
            kernel vmlinuz
            append initrd=initrd.img ip=dhcp inst.repo=http://198.123.123.198/distrib